誹謗中傷の投稿者を特定できないケースとは?弁護士が解説
インターネット上の誹謗中傷について、「投稿者を特定できる」と説明されることが多くあります。しかし、すべてのケースで特定できるわけではありません。実際には、特定が困難、または不可能になるケースも存在します。今回は、誹謗中傷の投稿者を特定できない主なケースについて解説します。
1.ログがすでに消えている場合
最も多いのがこのケースです。誹謗中傷の投稿を特定するためには、投稿時のIPアドレスなどの通信ログが必要になります。しかし、このログは永久に保存されているわけではありません。多くのサービスでは、ログの保存期間は数ヶ月程度です。そのため、投稿から長期間経過していて、対応が遅れた場合には、ログが消えてしまい、特定ができなくなることがあります。誹謗中傷対策において早期対応が重要と言われる最大の理由がここにあります。
2.投稿内容が違法と認められない場合
発信者情報開示請求が認められるためには、投稿が権利侵害にあたることが必要です。例えば、単なる感想、抽象的な批判、主観的な評価といった投稿は、表現の自由として保護される場合があります。この場合、裁判所が違法性を認めず、開示請求が認められない可能性があります。
3.海外サービスの場合
海外企業が運営するSNSや掲示板では、発信者情報の開示が難しい場合があります。理由としては、日本の裁判所の判断が及びにくい、ログの保存体制が異なる、開示請求への対応が消極的といったものが挙げられます。もっとも、すべての海外サービスで特定できないわけではありません。実際には、サービスごとに対応状況が大きく異なります。
4.公衆Wi-Fiなどが利用されている場合
投稿が、フリーWi-Fi、インターネットカフェ、共用ネットワークなどから行われている場合、契約者情報だけでは実際の投稿者を特定できないケースがあります。この場合、監視カメラの映像などの追加の証拠がないと特定できないケースが多いです。
5.技術的に特定が困難な環境
近年では、匿名性を高めるために、VPN、海外プロキシなどを利用するケースもあります。こうした技術が利用されている場合、特定の難易度は高くなることがあります。ただし、必ず特定できないというわけではありません。状況によっては追跡可能なケースもあります。
誹謗中傷の投稿者は、多くのケースで特定が可能です。しかし、上記のようなケースでは、特定が困難になることもあります。
そのため、誹謗中傷の対応では「できるだけ早く状況を確認すること」が非常に重要になります。対応が早ければ早いほど、取れる手段は多くなります。もし投稿への対応を検討されている場合は、まず状況を整理するところから始めることをおすすめします。